ハイレゾとかスペックのお話。(その4)
40KHz規定の無意味さ
個人的な結論から言うと、規定は再生機器(プレイヤー)側の「96KHz/24Bit以上のハイレゾデータが再生できる機器であること。」というに止まるべきでした。
これはいわゆる上流、プレイヤー側に関わる「デジタル」の規定です。
つまりはイヤホン、ヘッドホン、スピーカーに規定は必要ありません。
というか、イヤホンなどは完全な「アナログ」装置である以上、ハイレゾデータの音の正確性や深みを再現できているか?など規定しようがないのです。
しかし、ハイレゾマークをイヤホンなど用にも作ってしまった。
貼るためには規定が必要だ。
では唯一のアナログな指標、40KHzの高域再生を規定にしてしまえというわけです。
おかしな話です。
今まで、イヤホンなどにレコード対応、テープ対応、CD対応など書いてあったことがありますか?
ほとんどありませんよね?
しかし、ハイレゾはなぜか貼らなければならないのです。
欧州と日本の対応
ここで、ハイレゾというものに対する姿勢が主に欧州と日本で分かれました。
欧州はハイレゾデータを再生できるプレイヤーにはハイレゾ対応を謳いますが(当然です)、イヤホンなどでは基本的に気にしていません。
ハイレゾによって表現力が上がった音源をいかにいい音で聴けるかの聴感優先の開発を継続したのです。
それは、音の滑らかさの表現だったり、立ち上がり立ち下がりの良さだったり、ダイナミックレンジの幅などでした。
つまり、ハイレゾの「目的」である「より自然に近い音」を達成しようとしたわけです。
もちろん、その開発の過程で40KHz再生を突破していたら、「一応つけておくか」くらいの感覚でしょうが、貼ってある製品もあります。
一方で日本はプレイヤー以外にもハイレゾロゴマークを貼るのに躍起になります。というかならざるを得ない流れになりました。数字が大きかったり、ロゴが貼ってある方が売れる可能性があるからです。というか、つけないと売りにくいように仕向けられています。
日本にだって「40KHzに対応しているに越したことはないけれど、本質はそうじゃないんだよなあ。」という姿勢のメーカーもありますし、それらはよく見れば判別できます。
数字を宣伝しておらず、そっとハイレゾロゴを貼っているだけのメーカーがその可能性大です。
ところが、70KHz対応で高域の繊細さが…などと宣伝したりしているメーカーもあります。
人間が高域の繊細な機種だ!と言っているのは大体4KHz〜16KHz付近の高域の評価であって、70KHzを達成するための労力はさほど貢献していないと思われます。
つまり、ハイレゾの「目的」である「より自然に近い音」の達成よりも、「ハイレゾを名乗れるか」を「目的」としてしまっています。
あれあれ?おかしいですね?
ハイレゾの醍醐味は高域再生じゃない。
しかし、それらを鵜呑みにしてしまう人(させてしまう人)たちによって、ハイレゾって高域がすごいんでしょ?という理解に落ち着いてしまっているわけです。
世間の認識がそのような流れになってしまったらもう最後。ハイレゾロゴが付いてないイヤホンなどはハイレゾが再生できないんではないか、再生できても意味がないのではないか。という誤解すら生まれる始末。
結果、メーカーは40KHz対応に躍起になり開発し、宣伝し、また鵜呑みにする人たちが増える。
悪夢のスパイラルです。
ハイレゾロゴを貼るためだけに労力が割かれ、本来のハイレゾの魅力、音の滑らかさの表現だったり、立ち上がり立ち下がりの良さだったり、ダイナミックレンジの幅を重視した開発を疎かにしている製品がある、あるいは妥協せざるを得ない部分が出てしまったという製品があると思うと残念でなりません。
あくまで、ハイレゾの本来の「目的」は「より自然に近い音」を目指したところにあるのです。
↓続き(最後)
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