ハイレゾとかスペックのお話。(その5)
では40KHzに意味はないのか?
結論を言うと、「全く意味がないとは言い切れない」です。
可聴域外とはいえ、空気を震わせているのは事実です。
たとえ鼓膜が反応できないとしても、例えば耳の中の微細な毛が震えるのを感じ取っている可能性などは否定できません。
ただ、イヤホン、ヘッドホンである限りは耳元での影響に留まるのでさほど大きなものではないかもしれません。
例えばスピーカーの重低音は、鼓膜だけでなく体を揺らしますよね?
でも、イヤホンなどだと揺らすのは耳の中だけです。
なんにせよ、20KHz以上の可聴域外に意味がないと断じるのは早計と言えるでしょう。
では何が問題なのか?
問題は音程のほうのHzつまり「アナログの領域」を規格に落とし込んでしまったことです。
規格があるからにはクリアしないとハイレゾマークがつけられません。
つけないと、先に書いたように「プレイヤーにハイレゾロゴが付いているならイヤホンなどもついてなければ意味がない。」と思っている層の購買意欲を大きく削ぐことになってしまいます。
それは、全てとは言いませんが、無理やり40KHzが出るようにチューニングした機種が生まれているに違いないということです。
そんな無意味な行為を行わなければ売りにくくなってしまった、イヤホンなどのアナログ機器のハイレゾマーク規格。その問題は大きいと思っています。
本来あるべき開発の姿
まずハイレゾは「より自然な音(アナログ波形)」に近づけることが本来の目的だと繰り返し言いました。
つまり、イヤホンなどは「より自然な音を出せるようにする」というのが第1目標でないと辻褄があいません。
まず「聴いていい音か」だけを考えて開発すべきだと思います。
その過程・結果で40KHzを超えているのはなんら問題ありませんし、賞賛すべきことです。
また、40KHzを再生することこそが自然な音に最も近づくアプローチであるというポリシーがあるならそれもいいでしょう。
逆に、高域が自然に減衰した音こそ自然というメーカーもあるもしれません。
このようにアナログ的に「いい音」はメーカーによって考え方がまるで違うわけです。
そのどれが正解かわからないものを規格で仕分けないでいただきたいところです。
結論「アナログ機器のハイレゾマークは無視しろ」
メーカーはアナログ機器のハイレゾマークなど無視して、自分たちの作りたい音を徹底して追求すれば良いのではないでしょうか。
また、ユーザーもイヤホンなどのハイレゾマークなどは無視して自分の気に入った機種を買ってください。
とにかく音がどうだろうと40KHz超えた機種にハイレゾマークが付いていて、超えてないけれど音がいい機種には付けられないという最悪の矛盾は、残念ながら覆りそうにありません。
ハイレゾマークを貼るための開発でダメな音になるくらいならやめるというメーカーが増えるのを期待しましょう。(実際いくつもあります)
一方でユーザーは見極めるための一定の知識を得て、情報を鵜呑みにせず、自分の耳を信じることしかできません。
本項が考えを改める、興味を持つ、深める、きっかけになれば幸いです。
以上
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