ガジェットの個人輸入や輸入品の購入で注意すべきこと【技適編】


こんにちは。ぽぷりです。・ω・

ガジェットの個人輸入や輸入品の購入について注意すべき点をまとめていきたいと思います。

主にかかわってくる2つの法律について簡単に説明とQ&Aコーナーを用意したいと思います。

前編はわたしもみんなもめんどくさい【技適】についてです。


自分は元建築家として分厚い法文書とにらめっこすることには慣れているので、法文を読み込むことには自信があります。本文ではなるべくわかりやすく噛み砕いて説明します。


技適についてはいくつかスタンスについて異なるパターンが見られます。

  1. 疑問点はあるが現行の法律であるからには守りたい【法律遵守タイプ】
  2. 疑問があろうと現行の法律なんだから守らないと通報するぞ【技適警察タイプ】
  3. 有効性や有意性を感じられないので無視する【存在意義否定タイプ】
  4. 個人が摘発され罰せられる恐れはないので無視する【罰せられなければ勝ちタイプ】
  5. 無視や否定をすることで法律が改善に向かう【個人改革タイプ】
  6. そもそも法律なんて気にしない【無関心タイプ】

などなどいろいろあるようです。

私および本記事のスタンスは"1. 疑問点はあるが現行の法律であるからには守りたい【法律遵守タイプ】"になります。その考えに否定的な方は以下を読む必要はございません。

では本文へいってみよう。

※この記事の技適に関する部分は【総合通信基盤局 電波部 電波環境課 認証推進室相談窓口】への直接の質問に対する回答を参考に作成しています。不明点はそちらへお電話ください。



【目次】

  • ガジェットに主にかかわる2つの法律
  • 表示
  • よくある問題
  • Q&A
  • まとめ
  • 技術基準適合証明等を受けた機器の検索用 "氏名または名称" 一覧



【ガジェットに主にかかわる2つの法律】

ガジェットに関わってくる法律は主に以下の2つがあります。


①電波法【総務省】

近代はガジェットにおいてBluetoothやWi-Fiなど無線を利用する機器が非常に多くなっています。そこで関わってくるのが電波法です。

目的は「無線通信の混信や妨害を防ぎ、また、有効希少な資源である電波の効率的な利用を確保するため」にあります。


②電気用品安全法【経済産業省】

ガジェットの多くは電力を必要とします。そこで関わってくるのが電気用品安全法です。

電気を利用する特定の品目に安全基準を設ける法律です。

目的は文字通り電気用品が人や財産に危険を及ぼさないように安全基準を設けることにあります。


今回は①電波法について解説します。



【法律と罰則】

電波法【総務省管轄】

電波を使用する機器を日本国内で使用する場合にこの法律が対象となります。

特にガジェットにおいて使われることが多いBluetoothWi-Fiですが、この法律のうち「特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則」(以下、技適)が関わってきます。

技適と言われると聞いたことがある人もグッと増えるのではないでしょうか。

基本的には電波を発する機器全てに関わると思ってください。


技適は分かりにくかったり、非適合品や未認証・登録品が簡単に手に入ってしまうこともあり、よく分からないうちに法に反してしまっている危険性があります。

一方で罰則は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」とかなり厳しめに設定されています。

皆さんがよく目にするであろう「自転車で理由や許可なく歩道を走行」した場合の罰則が「3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金」ですから、いかに厳しいかが分かると思います。

当然、電波法も道路交通法も事故を起こした場合にはさらに厳しい罰則が適用されます。


この罰則は機器を「使用した者」に科されるので、いざ罰せられる状況になった場合「知らなかった、知らない。」では済まされないので注意しましょう。



【認証と登録】

まず対象機器には技適に適合しているかを個別に検査するのとは別に、設計・製造段階で問題がないことの証明を登録する認証制度があります。(工事設計認証)

登録を行うのは認証機関で工事設計認証の申請は基本的には製造者もしくは輸入事業者です。

(個人でも技適番号の取得自体は可能ですが、個人での工事設計認証の取得はできず、1個体ごとの単独での技適番号取得になります。技術資料の提出が必要なので自身が製造者でない限りは基本的には不可能だと思ってください。)

認証・登録されているかは下記の総務省のWebページから検索できます。


※認証・登録の有無の検索ができるものであり、表示義務の達成を保証するものではありません。




【表示】

次に、認証された機器には「表示義務」が科されます。

これは認証・登録されている製品である事を証明するために製品本体にその旨のマークおよび番号を表示する義務が発生します。

つまり特例を除き、認証・登録だけではダメだという事です。日本代理店のない輸入製品を購入の際は認証・登録だけではなく、この表示にも気を付ける必要があります。

表示方法については主に3通りあります。

  1. 機器本体に直接表示
  2. 機器本体に付いている画面に表示
  3. 外部ディスプレイを通して表示

いずれかで必ず「表示」が必要です。

特例として認証取得済みのモジュールを組み込む製品はモジュールに一切手を加えなければ機器全体として再度取得する必要はありません。表示も任意となります。ただし、個人でモジュールでの申請なのかを判断するのはとても難しく、機器を分解してモジュール式なのかどうか、そのモジュールが認証済みなのかを確認・判断しなくてはなりません。(モジュールとはアンテナも含めた無線に関わる部分全体です。)

結論として、製品本体に表示がない製品は基本的に避けたほうが無難です。


インターネット上では説明書や箱への記載でよいとする特例があると解説している方も見受けられますが、まず認められません。
「顕微鏡でないと確認できないレベルでしか印字できるスペースがない」とか、「皮下組織に埋め込んでしまうので視認のしようがない」といったケースでしか認められないからです。

「美観を理由にできる」という解説も見たことがありますが、全くの誤りで認められません。

中には「実際に認証を取得しているのにメーカーが表示ルールを誤って解釈し違反」しているケースがあり、エンドユーザー側での確認・注意が必要です。

しかし、そのように悪意がなくても違法となってしまうのでご注意ください。




【よくある問題】

以上のことから以下のことが発生しがちです。

  • 購入した機器が登録されていなかった!
  • 購入した機器が登録されているのは確認したが、いざ届いたら表示がなかった or 間違っている!
  • 購入した機器が登録されているのは確認したが、モジュールでの取得かわからない!

いずれの場合にも日本国内で使用すると「使用した者」が違反者になる場合があります。よって個人輸入や日本代理店以外から輸入品を購入する場合は必ず事前に確認しておきましょう。

わからない場合(特にモジュールでの取得は事前に知るのは困難のため)避けるのが無難でしょう。


以下、Q&Aを載せておくのでぜひご活用ください。



【Q&A】

Q. 技適認証・登録されていない機器が届いたのですが利用できますか?

A. 登録されていない機器を日本国内で使用すると電波法違反となり、罰則を受ける場合があります。


Q. 技適認証・登録されているが表示がなかった。利用できますか?

A. 認証・登録されていても表示がない機器を日本国内で使用すると電波法違反となり、罰則を受ける場合があります。


Q. 技適マークと番号が説明書や箱にのみ表示されている。利用できますか?

A. 機器本体への表示免除は表示しても目に見えないマイクロデバイスや皮下組織に埋め込むなど物理的に見えなくなるなど表示が困難か不合理な機器のみです。よって、それらを除き本体に表示がない機器を日本国内で使用すると電波法違反となり罰則を受ける場合があります。なお、美観を理由にはできません。


Q. 技適マークと番号が説明書や箱にのみ表示されているが自分で本体に表示して利用できますか?

A. 「転記」という形で許可される場合がありますが、表示には規定に則った寸法でマークと番号を表示する必要があります。また、マークや番号を付することができるのは原則として事業者のみです。現実的ではないので事業者へシール等を交付してもらえないか頼むべきでしょう。


Q. 技適認証予定の製品を事前に買っておいて認証・登録後に利用しても良いですか?

A. その場合手元の機器には表示がないことになり新たに表示が必要です。機器本体の画面や外部ディスプレイに表示できる機器であっても、表示されるようにする作業の際に電源を入れる必要があるので電波法違反となり、罰則を受ける場合があります。


Q. 同じく技適認証予定の製品を事前に買っておいて認証・登録後に自分で表示して利用しても良いですか?

A. 購入時点で一切表示のない機器にはできません。表示のない機器に表示を付することができるのは登録事業者のみです。


Q. 技適の認証・登録・表示がない機器が送られてきたのですがその行為は法律違反ではありませんか?

A. 販売・購入には適用されず、「使用した者」が違反者になります。よって販売者に責任を問うことはできません。


Q. 国内では技適マークの表示があるはずの機器を国内で買ったが、自分の個体には表示がなかった。使用しても問題ありませんか?

A. 事業者の表示忘れと思われます。その場合でも表示がない状態で使用すると「使用した者」が違反者となります。事業者へ申告して、交換なりシールの発行なり対応してもらいましょう。


Q. 技適マークは表示されていたが番号が併記されていません。使えますか?

A. 技適マークは番号も含めて技適マークです。番号がないと照会ができないため登録されていたとしても無効なマークとなり利用できません。


Q. 技適がなくても使える特例制度があると聞きましたが?

A. 「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」を用いて申請をすることで実験などを理由に申請日から180日間利用できます。


Q. 技適未取得機器を用いた実験等の特例制度で申請理由を変えて再申請はできますか?

A. できますが、正当な理由がなく理由を変更し続けて個人的な利用期間を延ばすことは特例制度の趣旨に反します。違法ではありませんがモラルのない者とみなされる場合や却下される場合があります。


Q. 登録や表示のない機器を手に入れて実験等の申請をしている期間内に認証・登録され、アップデートなどで画面に表示できるようになった。その場合継続利用が可能ですか?

A. 可能です。画面に表示できるようにする行為も特例の期間内であれば違法とはなりません。


Q. 登録や表示のない機器を手に入れて使用せずに保管していたが、事業者が表示シールを送ってくれることになった。その場合利用が可能か。

A. 可能な場合があります。対象が合っているか確認のうえ、機器本体の外から見える部分もしくは直ちに見せられる部分に貼ってから電源を入れてください。


Q. BluetoothやWi-Fiの「受信のみ」をする機器にも技適は適用されますか?

A. されます。BluetoothやWi-Fiは双方向通信のため必ず電波を発します。よってワイヤレスヘッドホンやBluetoothレシーバー等であっても技適の認証・登録・表示が必要です。


Q. 技適マークの表示がある機器を改造しても大丈夫ですか。

A. すでに登録のある機器を改造した場合技適マークは無効になります。例えばオーディオではオペアンプの交換も改造行為にあたるので技適の登録範囲にオペアンプが含まれる場合に改造を行った場合、技適マークは無効となる場合があります。

基本的に密閉されていてパーツ等の交換を想定していない製品は改造はしないことをお勧めします。もちろんモジュール式やオペアンプ交換を簡易に行えるよう設計されていれば、交換部分を除いて技適を取得していると思われます。



【まとめ】

今回はここまで。

書けば書くほど疑問が残る法律ですが、残念ながら現行の法律です。使用者側では把握しきれない要素が多々あり、改善の余地はあると思います。

一応、経団連から現行の技適が時代に見合っていないということで改革の要望が入り改正の検討会は開かれ始めたそうですが、いったいいつになることやら。その検討会すら始めたのが2022年ですから…。


では、また次回まで。(=゚ω゚)ノ



【技術基準適合証明等を受けた機器の検索*¹】用 "氏名または名称" 一覧(オーディオ)

  • Cayin = Zhuhai Spark Electronic Equipment Co., Ltd.
  • FIIO*² = Guangzhou FiiO Electronics Technology Co., Ltd.
  • HiBy = Dongguan SmartAction Technology Co., Ltd.
  • Hidizs = Hidizs Technology Company Limited
  • HIFIMAN = HIFIMAN Kunshan Technology Group Co, Ltd. 
  • iBasso = Shenzhen Jizhi Acoustics Technology Co., Ltd
  • ifi*² = Abbingdon Global Limited
  • MOONDROP = Chengdu shuiyueyu technology Co.,Ltd
  • Shanling = Produced by Shanling DTD. CO., LTD
  • S.M.S.L. = Foshan Shuangmusanlin technology
  • TOPPING = Guangzhou TOPPING Technology Co., Ltd


*¹ 認証・登録の有無の検索ができるものであり、表示義務の達成を保証するものではありません。

*² 日本国向けでないグローバル版製品には技適マークの表示は原則ありません。




参考文献


【総務省Webページ: 電波法】

電波法

○電波法(昭和二十五年五月二日)(法律第百三十一号)第七回通常国会第三次吉田内閣電波法をここに公布する。電波法目次第一章 総則(第一条―第三条)第二章 無線局の免許等第一節 無線局の免許(第四条―第二十七条の二十)第二節 無線局の登録(第二十七条の二十一―第二十七条の三十七)第三節 無線局の開設に関するあつせん等(第二十七条の三十八・第二十七条の三十九)第三章 無線設備(第二十八条―第三十八条の二)第三章の二 特定無線設備の技術基準適合証明等第一節 特定無線設備の技術基準適合証明及び工事設計認証(第三十八条の二の二―第三十八条の三十二)第二節 特別特定無線設備の技術基準適合自己確認(第三十八条の三十三―第三十八条の三十八)第三節 登録修理業者(第三十八条の三十九―第三十八条の四十八)第四章 無線従事者(第三十九条―第五十一条)第五章 運用第一節 通則(第五十二条―第六十一条)第二節 海岸局等の運用(第六十二条―第七十条)第三節 航空局等の運用(第七十条の二―第七十条の六)第四節 無線局の運用の特例(第七十条の七―第七十条の九)第六章 監督(第七十一条―第八十二条)第七章 審査請求及び訴訟(第八十三条―第九十九条)第七章の二 電波監理審議会(第九十九条の二―第九十九条の十五)第八章 雑則(第百条―第百四条の五)第九章 罰則(第百五条―第百十六条)附則第一章 総則(目的)第一条 この法律は、電波の公平且つ能率的な利用を確保することによつて、公共の福祉を増進することを目的とする。(定義)第二条 この法律及びこの法律に基づく命令の規定の解釈に関しては、次の定義に従うものとする。一 「電波」とは、三百万メガヘルツ以下の周波数の電磁波をいう。二 「無線電信」とは、電波を利用して、符号を送り、又は受けるための通信設備をいう。三 「無線電話」とは、電波を利用して、音声その他の音響を送り、又は受けるための通信設備をいう。四 「無線設備」とは、無線電信、無線電話その他電波を送り、又は受けるための電気的設備をいう。五 「無線局」とは、無線設備及び無線設備の操作を行う者の総体をいう。但し、受信のみを目的とするものを含まない。六 「無線従事者」とは、無線設備の操作又はその監督を行う者であつて、総務大臣の免許を受けたものをいう。(昭二七法二八〇・昭四〇法一一四・昭四七法一一一・平元法六七・平一

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【総務省Webページ: 特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則】

特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則

○特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則(昭和五十六年十一月二十一日)(郵政省令第三十七号)電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)第三章の二の規定に基づき、及び同法を実施するため特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則を次のように定める。特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則(平一六総省令二・改称)目次第一章 総則(第一条・第二条)第二章 登録証明機関第一節 技術基準適合証明(第三条―第十六条)第二節 特定無線設備の工事設計についての認証(第十七条―第二十二条)第三章 承認証明機関第一節 技術基準適合証明(第二十三条―第三十二条)第二節 特定無線設備の工事設計についての認証(第三十三条―第三十八条)第四章 特別特定無線設備の技術基準適合自己確認(第三十九条―第四十二条)第五章 雑則(第四十三条)附則第一章 総則(目的)第一条 この規則は、別に定めるものを除くほか、特定無線設備の技術基準適合証明等に関し、法の委任に基づく事項及び法の規定を施行するために必要とする事項を定めることを目的とする。(平一一郵令七・平一六総省令二・一部改正)(特定無線設備等)第二条 法第三十八条の二の二第一項の特定無線設備は、次のとおりとする。一から一の八まで 削除一の九 設備規則第四章においてその無線設備の条件が定められている単側波帯の電波を使用する単一通信路の陸上移動局又は携帯局に使用するための無線設備であつて、その空中線電力が五〇ワット以下のもの(第二十五号から第二十五号の三までに掲げるものを除く。)一の十 設備規則第四章においてその無線設備の条件が定められているF一B電波、F一C電波、F一D電波、F一E電波、F一F電波、F一N電波、F一X電波、G一B電波、G一C電波、G一D電波、G一E電波、G一F電波、G一N電波又はG一X電波を使用する単一通信路の陸上移動局又は携帯局に使用するための無線設備であつて、その空中線電力が五〇ワット以下のもの(第二十五号の四から第二十五号の六まで及び第七十二号に掲げるものを除く。)一の十一 設備規則第四章においてその無線設備の条件が定められているF二A電波、F二B電波、F二C電波、F二D電波、F二N電波、F二X電波又はF三E電波を使用する単一通信路の陸上移動局又は携帯局に使用するための無線設備であつて、その空中線電力が五〇ワット以下のもの一の十

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【総務省Webページ: 技術基準適合証明等を受けた機器の検索】


【総務省Webページ: 技適マークのQ&A】

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